なぜ、始業時間と同時に仕事を始める人は仕事ができないのか?

オフィス
Photo by Steven Mileham

私が以前勤めていた会社に、結果を出せない先輩(Kさん)がいました。毎日遅刻せず出勤し、時には遅くまで仕事をしている人だったのですが、業績に影響をあたえるような活躍は全くと言っていいほどできませんでした。

上司は典型的な体育会系だったのでKさんのことは「毎日遅刻せず一生懸命に働くのは立派だ」と評価していました。しかし、上層部からは真逆の評価、「給料泥棒」に近いことを言われていました。同僚もほとんどが「Kさんはいい人だけど、仕事できないのがなぁ」と口癖のように言っていたことを覚えています。

とある日、Kさんは社長に呼び出され「お前は一生懸命働いているつもりかもしれないが、結果につながらない労働は意味がないんだよ!」とカミナリを落とされます。そして、なぜ結果が出ないのか真剣に話し合うことになり、そこから少しずつ結果を出せるようになります(社長いい人だった…)。

さて、Kさんは社長からいったい何をアドバイスされたのでしょうか?それをこれから書いていきたいと思います。この記事がまさにKさんのような境遇の方にとって参考になることを願って。

目次

会社の外でも仕事について考えろ

最初に、Kさんは仕事への姿勢の改善を求められました。

問題視されたのは、始業時間と同時に仕事に取り組むクセでした。いまの仕事で問題を抱えていたとしても、退社したら一切その問題について考えない。解決策は明日出社してから考える…そんな日々に終止符を打ち、社外でも常に考え続けるよう指導されました。

こういうことを書くと「ブラック企業だ!」と言われそうなんですが、Kさん、〆切をぶっちぎることがたくさんあったんですね。で、その原因は上述したとおりの過剰なオンオフの切り替えにありました。

表現が難しいのですが、昨日の仕事が今日につながらないと言えばいいのでしょうか。途中まで作成した資料を「残りは次の日!」とキリの良い所で退社しても、次の日出社したら「この後どんな感じで作るんだっけ…」と思い出すところからスタートする。Kさんはずっとそんな感じで仕事をしていました。

ワークライフバランスは大事です。オフの時間を邪魔することもあってはいけないことだと思います。しかし、Kさんはとてもバランスを取れているとは言いがたい働き方をしていました。なので、上層部は「平日は24時間仕事について考えろ!(※土日は休んでいいよ)」と、ショック療法に近いことをやったわけです。

結果として、〆切に間に合わないケースは激減しました。

仕事もスポーツと一緒で“トレーニング”が大事

次に、Kさんは勉強を勧められました。これは前述の常に仕事について考えろと通じるものがありますが、要は「自分の仕事に必要な知識、経験、情報を蓄えておけ」ということです。そんなん当たり前だろう、と思われる方がほとんどだと思うのですが、現代社会は勉強しない人が溢れています。本当にびっくりするくらいにいます。

Kさんは典型的な勉強しない系の人で、通勤時間はスマホでゲーム、休みの日は家でずっと寝るだけ、みたいな生活を送っていました。会社でも勉強会は「めんどくさい」と出席せず、会社がお金を出してくれる各種セミナーも「他の予定があるので」と出席を拒否し続けていました。

別に出席しないことは個人の自由だし、元々知っていることを復習するだけなら私も時間の無駄だと思うので出席したくない気持ちはわかります。しかし、Kさんは業界のベースとなる知識が全く無かった。それが問題でした。どれくらいなかったかというと、例えて言えば、スマホゲーム開発会社に勤めているのにパズドラ、モンストを知らないレベルでした(それでも働けてしまうのが日本企業の問題だと思うのですが、それはまた別の話なので今回は割愛します)。

社長は「仕事はスポーツと同じだ」と例えました。「ルールを把握し、結果を出すためのトレーニングを試合がないときも続けることが大事」という意味です。

Kさんは最初半強制で勉強会、セミナー、交流会に出席させられかなり嫌がっていたのですが、そこで仕入れた知識、人脈が結果に繋がるようになると、自発的に勉強をするようになりました。最近は社外で偉い人と会話をするときも知識不足でどもることがなくなり、好印象を持たれることが増えているそうです。

目的を持って仕事に取り組むべし

最後に、Kさんは「この作業で何を達成するか?」を意識して仕事をするように言われました。どういうことかというと、「一生懸命仕事をすることはいいことだ、しかし、何に対して一生懸命に取り組んでいるかを意識しなければダメ!」ということです。

例えばコンペの資料用に競合他社の価格を調査するとしましょう。この時に、ただ数字をコピペするだけじゃダメということです。

「この数字がコンペにおいてどのような意味を持つのか?」
「どう見せればクライアントに刺さるのか?」
「ていうか、この数字って必要?」

このように一歩踏み込んで考えながら調査をしましょう、というのがKさんに課されたミッションでした。

結果はどうだったか?というと、成果物のレベルが一気に上がりました。コンペ用の資料作成をするときには「このスライドはプレゼン時に非常に大事だからこの数字を強調して、グラフも大きく使って見せよう」と意図を持った資料を作れるようになり、クライアントへデータを納品するときに簡易マニュアルを添えて送る心遣いもできるようになりました。

いまではクライアントから「Kさん良いねぇ」と言われることも増えているとか、いないとか。

まとめ

KさんのV字信頼回復の軌跡、いかがだったでしょうか?このストーリーを読んでいただいたことで「なぜ、始業時間と同時に仕事を始める人は仕事ができないのか?」についての答えは、みなさんの頭の中で出たのではないかと思います。

インターネットがすっかり普及し、365日24時間誰とでも連絡が取れる時代ではオン、オフの切り替えをはっきりとしすぎることはリスクになりました。今回のKさんのケースは、現代の働き方に適応できない人にはどうアドバイスをすべきか?という問いへの模範的な回答だったと言えるでしょう。

私は普段はクライアントワークをしつつ、仕事の中で得られた経験を副業的にブログに綴っています。そこにはオン、オフの概念はありません。クライアントワークもブログもオンであり、オフであるというつもりで仕事をしています。なので、私は起きている間はいつも仕事について考えていることになります。

この考え方を「ブラックだ」と感じられる方がいることは否定しませんし、そう思われることは仕方ないと考えています。しかし、働き方が変わりつつあるこの現代社会の中で、いつまでも旧態依然とした始業時間、定時、残業という概念に縛られて仕事をすることは、時代に取り残されることになると私は考えています。

少なくとも、古い考えを捨て現代風の働き方にシフトしたKさんは結果を出せるようになりました。また、結果が出せるようになったことで退社時間も今までより早くなり、健康面での不安もなくなったことをここに追記しておきます。いまでは会社の貴重な戦力となり、近々昇進が控えているという噂も聞くようになりました。

みなさんは定められた労働時間の間だけ働く生活を続けるか、社内社外関係なく常に仕事について考え続ける生活を続けるか。どちらを選びますか?

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