あなたが担当するプロジェクトは、毎回納期に間に合っているでしょうか?クライアントが納得する成果物を納品できているでしょうか?
もしできているのであれば、この記事を読む必要はありません。しかし、毎回大炎上させたり、クライアントに怒られるようなものを土下座しながら納品する結果になってしまったりしている人は、この記事を参考にしてみてください。
この記事ではスケジュール通りに進まないプロジェクトにありがちな理由を7つに分類してまとめています。さすがに全てに該当する人はいないと思いますが、3つ、4つと心当たりがあれば、1つずつ改善してください。改善するごとにプロジェクトの成功率が上がり、「あの人は優秀だねー」と言われるようになるでしょう。
ではいきましょう。キーワードは「事前準備」です。
目次
1:ゴールをうまく設定できていない
あなたの担当するプロジェクト、メンバーからやたらと「私の最後のタスクはどれなの?」と聞かれるものになっていないでしょうか?もし聞かれていたら、それはあなたのゴール設定がヘタだからです。
1つのプロジェクトには、納品という大きなゴールと、各担当者ごとの「最後のタスク」という小さなゴールがあります。しかし、ダメなディレクターは小さなゴールを設定し忘れることが多いです。
誰でも自分の担当する仕事が終わったら「あなたの担当は終わりです!お疲れ様!」とひと声かけてもらい、安心して他の仕事にとりかかりたいもの。その気持ちを汲み取らず、何もタスクがない人を関わらせ続けていたら、その人はあなたを信頼してくれなくなるでしょう。
納品のことだけ考えるのではなく、各メンバーがプロジェクトから離れることができる小さなゴールの設定を忘れないようにしてください。
2:スケジュールを引くときに担当者と十分に話ができていない
「こういう仕様なんだけど、何日でできそう?」とエンジニアに聞かず、「デザインは○日もあればできるだろう」とデザイナーに〆切を相談せず、なんとなくスケジュールを引いていないでしょうか?もし心当たりがあれば、そのプロジェクトは確実に失敗するでしょう。
あなたのプロジェクトのメンバーは、毎日あなたのためだけに働いてくれるわけではありません。他のプロジェクトにかかりっきりにならないといけない日もあるし、ずっと前から申請していた有給休暇があって途中で1週間くらい抜けるかもしれません。それを考慮に入れずに毎回スケジュールを引いていたら、そりゃあうまくいくはずがありません。
もし心当たりがあったら、必ず事前に担当者に相談する習慣を身につけるようにしましょう。面倒臭いかもしれませんが、別に会議室を抑えてガッツリやれと言っているわけではありません。本人の席に行って「今度こんなプロジェクトがあって〇〇をお願いしたいんだけど、何日くらいでできそう?」と軽く立ち話をしながら確認すればOK。これをやるだけで、プロジェクトの成功率はグッとアップするでしょう。
3:工数の見積もりが自分勝手
「このタスクは私なら○日で終わらせられるから、△人でいいだろう」と自分基準で工数を見積もってみたら全然予定通りに進まず、納期に間に合わないどころか品質も低くクライアントから毎日叱られることに…なんて経験はないでしょうか。
同じタスクでも、終わらせるのにかかる時間は人それぞれ違います。その事実から目を背け、なんでも自分基準で工数を見積もることはデスマの入口に向かうことと同義です。
4:トラブルがあった時のための予備日が1日もない
誰かがインフルエンザにかかって3日くらい遅れが出る、エラーの原因の特定が遅れて1日遅れが出る、メンバーが別案件の打ち合わせをガンガンに入れられて作業時間が全然取れなくなる…トラブルは大小様々なものがあり、どれだけ小さいプロジェクトでもゼロで終わることはほとんどありません。
あなたが過去に大失敗したプロジェクトのスケジュール表がもし手元にあれば、印刷して見返してみましょう。納期まで1日も隙間なくタスクで埋め尽くされていないでしょうか?そして今まさに作っているスケジュール表も同じようになっていないでしょうか?もし予備日が1日もないのであれば、今すぐ確保するようにしてください。
隙間のないスケジュール表は見た目は美しいですが、1つ穴ができただけで崩壊するリスクも孕んでいます。スケジュールを引く前には必ず起きうるトラブルを全て書き出し、どれだけの予備日があればリカバリーできるのかをシミュレーションするようにしましょう。
5:チームの組み方が下手
これは人間関係の問題なのですが、プロジェクトチームを決定するときに誰と誰の相性が良いか悪いかを考えずに組んでしまうと、優秀な人を集めたはずなのに進行が遅れることがあります。
プロジェクトに誰をアサインするかを考えるとき、「AさんはBさんがあまり好きではない」「CさんはDさんと一緒にするとすごいいい仕事をする」といった社内情報があれば、その情報を元にメンバーを選ぶようにしましょう。人の相性はあなたが考えている以上に重要です(少人数の会社だとそんなことは言ってられないのですが)。
6:進捗管理の方法を決めていない
これは私自身が経験したことなのですが、炎上しているプロジェクトにヘルプで入った時、進捗管理の方法が全く統一されていないことがありました。ディレクターはメールで、エンジニアはSkypeで、デザイナーは社内のタスク管理ツールで…と、それぞれの部署が違うツールで進捗を管理していたのです。なので部署によって何がどこまで進んだのかの認識が違っていて、「え?そんなの聞いてないよ!」と頻繁に衝突が起こって大変なことになりました。ここまで酷いケースはまれですが、進捗管理の方法が決まっていないプロジェクトは一定の割合で存在します。
あなたのプロジェクトは、どのように進捗管理をしているでしょうか。もし統一されていなかったら、キックオフミーティングで必ずルールを全員に伝えるようにしましょう。全てメールで管理するのなら「デザインは〇〇さんをCCに入れる」「コーディングチェックは△△さんが担当なのでテストアップ時に必ず連絡する」とルールやメーリングリストを作る。タスク管理ツールを使うならツール経由の報告を徹底させる。これだけで誰が何をしているかがはっきりして進行がスムーズになります。
7:必要のない会議を入れすぎている
あなたのプロジェクトは、やたらと会議が多くないでしょうか?週に2回定例会議をやったり、立ち話で終わるレベルの確認をわざわざ会議でやったりしていないでしょうか。もし開催していたら、それがスケジュールに遅れが出る原因です。
納期が近づいてくると、担当者はたった30分の会議でもストレスを感じます。内容が前回とあまり変わらなかったら、「今すぐにでもデスクに戻って作業を再開したい」とイライラしていることでしょう。
会議の回数は極限まで削りましょう。進捗確認はツールを使えばできますし、責任者だけが確認すればいいことはデスクの前で話し合いをすれば終わりです。何が何でも全員集まって共有しなければならないこと以外で、メンバーの時間を会議で奪わないように心がけましょう。
まとめ:事前準備が全て
ここまでお読みいただければわかっていただけたと思います。あなたの担当するプロジェクトがいつもうまくいかない理由は、事前準備が十分にできていないからです。
1つ1つのタスクの難易度と工数の見積もり、メンバーの能力の把握、進捗管理のルール決め…ディレクターがやるべきことは山ほどあります。それを少しでもサボってしまうと、いくつプロジェクトを担当しても成長することなく、毎回のように納期を伸ばすことになるでしょう。
こういう記事を書くと、「短納期の案件なら事前準備なんてしている暇はない」「そんなものは理想論だ」と反応する方がいます。もっともらしい意見ですが、私はそれは言い訳だと断言します。
なぜなら、事前準備は案件を1つも抱えていない時でもできるからです。どんな業務が得意なのか。いま忙しいのか、ヒマなのか。今までどんな案件に関わってきたのか…各社員の情報は普段の業務の中でも知ることができます。得た情報を頭のなかにストックしておけば、短納期の仕事が舞い込んだ時も「あの人とあの人とあの人に相談すればいけるはず」とすぐに準備に取り掛かることができるはずです。
最後にもう一度。プロジェクトをスケジュール通りに進めるために必要なことは「事前準備」です。今までサボっていたのであれば、明日から習慣化するようにしましょう。